日本政策金融公庫の概要
日本政策金融公庫とは、 東京都千代田区大手町に本店を置く国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行が統合し、民間銀行ではなく日本政府が100%出資している金融機関です。
全国152の支店を持ち、総融資残高 29兆2,387億円
不動産賃貸業であること
日本政策金融公庫は、不動産売買の目的だけの融資は行なっていません。
不動産賃貸業に融資を行います。
担当者に安易な気持ちで面談し、不動産を数年後に売却するような事業計画をたててしまったり、話していまったりするのは厳禁です。
売却益を狙った不動産投資目的だと判断されると、承認が下りないこともあります。
売却目的の不動産投資は宅建免許を持たない個人・業者は違法になる恐れがあります。
融資エリア
融資エリアは152支店、全国どこでも融資可能です。
地方銀行・信用金庫などと違い、遠方の物件でも融資が可能です。
僕の友人は日本ではありませんが、オーストラリアの物件を日本政策金融公庫から借りることが出来たことがありました。
融資申込みの条件
日本政策金融公庫から融資を受けるには、民間の金融機関の融資基準と違うため、日本政策金融公庫の融資基準を理解をしておく必要があります。
あなたが持ち込んだ物件が事業計画に基づいて返済可能であることを示す必要があります。
属性が高くない方や新設法人でも物件の評価が出れば、融資を受けることは可能。
個人・法人のどちらでも対応が可能
居住地、法人所在地、勤務先、物件所在地の最寄りの支店
つまり、 居住地近くの支店でダメな場合、勤務先や物件所在地近くの支店でも相談が可能なので、相談できるチャンスが3~4回あります。
ハズレ担当者にあたった場合、他の支店に切り替えて相談することができます。
収支が赤字になる物件は、融資を受けることができない可能性は高い。
融資期間・金利・自己資金・審査期間について
融資期間
日本政策金融公庫の最大のデメリットは融資期間が一般的な金融機関と比べると短いです。
融資期間が短いので、毎月の返済額が増えます。
毎月の支払額が多いので、利回りの高い物件を持ち込まないと、返済額、固定資産税、管理費などを引いた後のキャッシュフローが厳しくなります。
低い利回りの都心・大都市の物件は不向きです。
融資期間は10年もしくは15年です。
法定耐用年数切れでは、最大10年まで(ほぼ例外なし)と言われました。
築古木造戸建て(法定耐用年数22年以上)投資の場合、融資期間は10年ということです。
金利
日本政策金融公庫で融資を受ける場合は、借入の全期間固定金利のみとなっています。
返済期間、担保の有無、頭金の割合などによって、利率は違います。
共同担保がない場合、2%前半~2%半ば
共同担保がある場合、1%台
(負債0円の土地や建物、返済が進んでいる土地や建物を担保にできる場合)
全期間固定金利のため、金利上昇による返済額が増加するリスクはありません。
自己資金
フルローン融資は厳しい。
申込書や創業計画書には、初めから自己資金1割以上を出すことを前提に相談したほうが印象は良い感じがします。
目安:1~2割程度必要
一定の利回りがない物件はキャッシュフローが赤字になるので、自己資金を増やさないと健全な経営計画書を作成できません。
築浅物件の利回り10%、融資期間15年であれば、自己資金1割でも黒字化できるイメージです。
築浅物件の利回り10%、融資期間10年だと、自己資金3割でギリギリ黒字化する程度です。
審査期間
約1カ月
融資申込書に融資時期を記載する欄があります。
融資に間に合いそうかどうかを担当者に聞いてみるといいです。
担保評価・融資上限額
担保評価
建物・土地の積算評価と家賃収入の収益評価の両方を評価しますが、高い利回りの物件を持ち込んだ方が通りやすい傾向があります。
耐用年数をオーバーした築古物件であっても融資を受けることができますが、耐用年数オーバーの物件に対する融資期間は10年を超えることは難しい。
10~15年間の融資期間が短いため、新築・築浅物件ではキャッシュフローが赤字になります。
日本政策金融公庫に融資を持ち込む物件は、利回り10%以上の中古物件が最適でしょう。
融資上限額
支店長決済で、2,000万円
本部決済で、最大4,800万円までです。
融資上限が最大4,800万円なので、高い利回りの地方中古1棟アパートか高い利回りの中古区分所有マンションが適しています。
どんな物件が融資を受けることができるのか?
物件価格 3,000万円の中古戸建て 家賃収入300万円 利回り10%
融資期間10年 金利2%
パターン1:自己資金300万円 空室率5%
家賃収入300万円 – 返済額298万円 – 諸費用60 = -50万円(赤字)
パターン2:自己資金900万円 空室率5%
家賃収入900万円 – 返済額232万円 – 諸費用60 = 8万円
自己資金1割のパターン1では赤字になるため、融資を受けることは、まず難しいでしょう。
自己資金を3割に増やすパターン2でなんとか黒字(税引き前)にできます。
このシュミレーションでは、最低3割以上の自己資金を準備しないと融資を受けることはできません。
日本政策金融公庫に相談する前に黒字化した簡単な収支計画書を持参し、担当者に相談をしたほうが話がスムーズになり、良い印象を与えることができす。
その他
●繰り上げ返済は無料
負債を早く減らしたい方は手数料が無料のため、有効的に活用できます。
●日本政策金融公庫では、企業概要書と創業計画書を作成する必要がございます。
創業計画書は日本政策金融公庫の融資担当者と相談しながら書くことが重要です。
なぜなら、担当者と相談しながら書類を作成することで、融資の審査ポイントを抑えながら記入できます。
中古物件の場合、修繕費や満室経営にするための賃貸業の工夫・特長(Wi-Fi無料、宅配ボックス設置など)を記載したほうが印象は良いです。
税理士に依頼すれば、申請書類を作成してもらえますが、成功報酬として融資額の1.5~3%を支払うことになります。
それ程、難しい書類ではないので、ご自身で作成し、不明な点は担当者に質問をすれば簡単に作成することができます。
税理士に融資額2,000万円の書類作成をお願いすると、手数料2%で40万円の無駄なお金を使うことになります。
まとめ
●融資エリアは全国可能
●融資期間が10~15年と短く、利回り10%以上の物件に最適な金融機関
高い利回りの中古区分マンション、高い利回りの地方築古1棟アパート、
高い利回りの築古戸建て投資向き
● 居住地近くの支店でダメな場合、勤務先や物件所在地近くの支店でも相談が可能なので、相談できるチャンスが3~4回あります。